東部深層海水創新研發中心

伊豆赤沢および久米島海洋深層水由来放線菌における物質生産能の解析

發佈日期:2017-11-17

標題
伊豆赤沢および久米島海洋深層水由来放線菌における物質生産能の解析
作者
○山田将之1)、梁太熙2)、山田勝久3)、池上康之4)、今田千秋2)、春成円十朗・五十嵐康弘1) (1)富山県立大、2)東京海洋大、3)株式会社ディーエイチシー、4)佐賀大海洋エネルギー)
文件屬性
日本研究
知識分類
基礎研究
點閱數
2935

摘要

1. はじめに
昨今,医薬探索源としての天然物への関心が低下しているが,新規骨格リード化合物探索における天然物への期待は依然として大きい。天然物は人為的に設計された分子に比べ,より医薬品に近い構造上の特徴を有している。これは,生物が生産する化合物は生まれながらにして,特定のタンパク質と相互作用するように作られているためである。すなわち,タンパク質のフォールディングのパターンには上限があるため,天然物の生合成酵素と薬物の標的タンパクとが共通の構造モチーフを持つ可能性があるからである。近年,海洋微生物は,陸生微生物とは異なる多様な構造の生理活性物質を生産することから注目を集めている。我々は,海洋微生物研究の一環として,富山湾海洋深層水から放線菌を分離し,抗生物質,抗癌物質,抗糖尿病活性物質など様々な新規化合物を見出してきた1)。一方で,富山湾以外の海洋深層水から分離された微生物の物質生産能に関する研究はこれまでなされていない。そこで本研究では,伊豆赤沢と久米島の海洋深層水から分離された放線菌について,物質生産能を調査することとした。
2.方法
今田らにより,伊豆赤沢の深層水から分離された131 株,久米島の深層水から分離された67 株の放線菌のうち,今回の実験では伊豆赤沢由来の94 株と久米島由来の10 株,合計104 株を用いた。分離株の分子系統解析は,常法によりDNA を抽出後,細菌用16S rRNA 遺伝子増幅用ユニバーサルプライマーを用いてPCR を行い,DNA 配列を解析した。さらに分離株を3 種類の生産用液体培地(50%天然海水)で培養し,培養液を1-ブタノールにより抽出した。ブタノール抽出液は濃縮乾固し,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により生産物を解析した。HPLC ピークのUV スペクトルを研究室で構築した既知化合物のスペクトルデータベースと照合し,生産物の新規性を判定した。
3.結果及び考察
分子系統解析の結果,富山湾深層水からは分離されたことのないNocardia , Nonomuraea ,Actinomadura のような希少放線菌群が伊豆赤沢深層水中に存在することが判明した。久米島分離
株については解析を進めている。また,104 株のうちほぼ半数の47 株に物質生産が認められた。さらに,そのうち富山湾深層水株には見られない新規性物質を生産すると判定されたものが,伊豆赤沢深層水から13 株得られた。現在これらの候補株の培養を行い,物質の単離,精製へと進めている。
以上の結果より,微生物種,物質生産能の両面において,海洋深層水中の放線菌に関しては地域差のある可能性が示唆されており,これは今田らによる群集解析の結果とも一致している。本講演では,これまでに得られた分析結果をまとめて報告する。

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