東部深層海水創新研發中心

富山湾海洋深層水からの放線菌分離と有用物質生産能の解析

發佈日期:2017-11-17

標題
富山湾海洋深層水からの放線菌分離と有用物質生産能の解析
作者
○荻野景子・春成円十朗・五十嵐康弘
文件屬性
日本研究
知識分類
基礎研究
點閱數
2944

摘要

1. はじめに
我々の研究室では約20 年前から,富山県水産試験場ならびに滑川沖合洋上での船舶による海洋深層水採水を行い,数十リットル規模でのメンブランフィルター濾過法による放線菌分離を行い,その生産物から抗菌性や抗癌活性を有する医薬品候補化合物を見出している1)。この濾過法は,性質を利用した手法で,放線菌分離に適している。一方で,東京海洋大学の今田らは伊豆赤沢と久米島の海洋深層水をトン単位で濾過することにより,多数の放線菌株を効率的に分離することに成功し,さらにそれらが富山湾海洋深層水から分離した放線菌群とは異なる新種を含むことを明らかにした(私信)。
そこで本研究では,富山県入善町取水設備のフィルターに捕集された放線菌の分離を検討することとした。入善の施設では,一日の稼働時間が8~10 時間,毎時1000L で深層水を汲み上げている。取水された深層水は,プランクトンネットと繊維フィルターにより濾過された後,様々な用途に利用される。そのフィルターは約2 ヶ月で交換されるため,交換時に廃棄されるフィルターは,約600 トンの深層水を濾過した計算になり,メンブランフィルター濾過の30 万倍の深層水を濾過したことに相当するため,従来法では捕捉できなかった深層水中の希少放線菌の取得が可能になると期待された。
2.方法
富山県入善町の取水設備(水深384 m)から使用済みフィルターを入手し,捕捉されている懸濁物を滅菌海水により洗浄抽出し,遠心分離による濃縮の後,選択分離培地に塗抹した。培養1 週間~2 か月後に培地上に出現するコロニーを釣菌,純化し,長期保存用のグリセロールストックを作製してその後の実験に供した。分離株の分子系統解析は,常法によりDNA を抽出後,細菌用16S rRNA 遺伝子増幅用ユニバーサルプライマーを用いてPCR を行い,DNA 配列を解析した。さらに分離株を3 種類の生産用液体培地(50%天然海水)で培養し,培養液を1-ブタノールにより抽出した。ブタノール抽出液は濃縮乾固し,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により生産物を解析した。HPLC ピークのUV ス
ペクトルを研究室で構築した既知化合物のスペクトルデータベースと照合し,生産物の新規性を判定した。
3.結果及び考察
2016 年11 月に入手したフィルターから放線菌138 株,2017 年2 月には167 株を分離した。しかし同年6 月のフィルターからは糸状菌が多量に発生したため,放線菌の分離ができなかった。2016 年11 月の分離株のうち,48 株について生産物質の解析を行った。その結果,メンブランフィルター法で分離した放線菌には見られなかった未知化合物を生産する菌株を複数見出した。本発表では,これまでに得た結果を報告する。

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