東部深層海水創新研發中心

正常ヒト由来線維芽細胞の石灰化に対する海洋深層水の抑制機序

發佈日期:2017-11-17

標題
正常ヒト由来線維芽細胞の石灰化に対する海洋深層水の抑制機序
作者
○山田勝久・柴田雄次・山本樹・野村道康1)、今田千秋2) (1)㈱ディーエイチシー、2) 東京海洋大学)
文件屬性
日本研究
知識分類
基礎研究
點閱數
2743

摘要

1.目的
海洋深層水(以後,DSW)のヒトの皮膚科学的有用性に関する研究報告は未だ数少ない.前回我々は正常ヒト皮膚由来線維芽細胞(以後,NB1 細胞)を用いた研究で,UVA 照射が石灰化を誘導することに加えて,DSW がこの現象を軽減することを報告した1).そこで今回は,UVA が照射されたことにより細胞に生じる活性酸素分子種(以後,ROS)の動態2)および石灰化の主要因子である細胞におけるCa 変動について観察すると共に,DSW 添加によるこれら因子の変化について調べることを目的とし
た.
2.方法
DSW および表面海水(以後,SSW)は伊豆赤沢で同日(日付を入れる)に取水したものを用いた.また全ての評価系において,NB1 細胞は96 穴マイクロプレートに2 万個/穴となるように播種した後,2 日間前培養を行った.前培養後,培地をPBS(-)(日水製薬)に置換してUVA(FL15BLB,東芝)を照射(0.8 J/cm2)したのち,Ca/Mg=2 に調整した10%FBS 含有イーグルMEM 培地(日水製薬)培地(2 倍希釈品)を用いて1 晩培養した.培養後,細胞を冷メタノールで固定したのち,ROS 発生による酸化ストレスマーカーである蛋白質のカルボニル化およびCa の蓄積を各々の選択的蛍光
プローブ(カルボニル化蛋白質,FTCZ; Ca,Fura-2)を用いて調査した.次にDSWの石灰化抑制機序を調査するために,UVA 照射後にDSW を添加して1 晩培養した細胞について,ROS およびCa の変化をSSWと比較した.またDSW,SSW にかかわらず海水中に豊富に存在するMg がCa 蓄積に影響を
及ぼす可能性が推察されたので,Mg の蓄積変動を調べるために,Mg 選択的プローブ(KMG-20)を用いて観察した.なお,細胞の観察には蛍光顕微鏡(オリンパス)を用いた.
3.結果および考察
NB1 細胞に対するUVA 照射は,ROS の発生を示唆するカルボニル化蛋白の生成を促した.また併せて,石灰化現象の本質成分であるCaの蓄積が誘導されることがわかった.UVA 照射後にDSW を含む培地で培養すると,DSWの添加濃度に依存してNB1 細胞へのCaの蓄積が抑制された.その効果は,比較対照として設定したSSW に比べて強かった.これは前回の本大会で報告したアリザリンレッド-S を用いた石灰化抑制効果の判定結果と一致した.次にDSWが有する石灰化抑制作用機序を調査したところ,UVA 照射後のカルボニル化蛋白の生成状態から考えて,DSW はUVA 照射に伴うROS に対して制御できないことがわかった.またDSW 中に豊富に存在するMg の影響について検討した結果,UVA 照射後のNB1 細胞に対するDSW のCa 蓄積抑制作用とMg の間には相関が見られなかった.これらのことからDSW は,UVA 照射後のNB1 細胞に対してCa およびMg の細胞への蓄積を共に抑制する作用が示唆された.今後はDSW の石灰化抑制機序解明に向けて,分子生物学的なアプローチを計画している.

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