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キンメダイ捕獲後の初期生残と飼育水温の関係

發佈日期:2017-11-17

標題
キンメダイ捕獲後の初期生残と飼育水温の関係
作者
〇野田浩之・中村永介・吉川康夫・高木康次・長谷川雅俊・後藤裕康(静岡県水産技術研究所) 山田勝久(㈱ディーエイチシー)
文件屬性
日本研究
知識分類
水產養殖
點閱數
4911

摘要

1.目的
キンメダイ(Beryx splendes)の静岡県内の年間水揚げ量は、ピーク時の7千トンに比べて近年は2千トン未満と減少傾向が続いており、本種の栽培漁業に向けた技術開発が求められている。水深200m以深に生息する本種の成魚を捕獲し陸上水槽で飼育すると、飼育初期に多くの個体が死亡する。そこで飼育初期の生残を改善するため適正飼育水温について検討した。
2.方法
2016年3月と2016年7~8月に、伊豆半島東岸沖漁場で漁船を傭船して立縄でキンメダイを捕獲した。捕獲時には魚群探知機および水温計によって水深と表層水温を測定し、仕掛けの下錘に防水温度ロガー(ティドビットV2Onset社製)を装着することで底層の水温を測定した。捕獲した魚は水温10~14℃に調温した漁船の魚槽に収容し、東伊豆町稲取港に帰港後、トラックで静岡県水産技術研究所伊豆分場に輸送した。試験には、容積1m3または2m3の水槽を使用し、電気クーラーで冷却した表層海水を用い流水飼育とした。2017年3月に同漁場で捕獲したキンメダイを、静岡県水産技術研究所駿河湾深層水水産利用施設(以下深層水利用施設とする)およびいとう漁業協同組合蓄養施設(以下蓄養施設とする)にトラックで輸送した。試験には、深層水利用施設では容積5 m3の水槽を使用し、水温無調整の表層海水と駿河湾の水深397mから取水した海洋深層水を用い流水飼育とした。蓄養施設では容積2 m3の水槽を使用し、㈱ディーエイチシーが相模湾の水深800mから取水した海洋深層水を用い流水飼育とした。いずれの試験も10日間飼育後の生残率を求め、水温との関係について検討した。
3.結果および考察
漁場の表層水温は3月が15.3~15.6℃、7~8月が22.2~25.2℃であった。漁場の水深は219~315mで底層水温は9.0~14.0℃の範囲にあり、時期による変化は少なかった。今回試験を行った8.9~14.4℃の飼育水温の範囲内では、水温と生残率には正の相関関係が認められた。一方、捕獲時の表層水温と底層水温の差と生残率の関係を、水温が12.3~14.4℃の事例を取り出して検討した結果、両者には負の相関関係が認められた。さらに、捕獲時の底層水温と飼育水温の差と生残率にも負の相関関係が認められた。以上のことから飼育初期の生残率を高めるためには、捕獲時期は表層と底層の水温差が少ない時期が良く、飼育水温は、捕獲した魚が生息していた底層の水温に合わせるのが良いと考えられた。

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