東部深層海水創新研發中心

富山湾深層水の農業とアルコール発酵への利活用

發佈日期:2017-08-10

標題
富山湾深層水の農業とアルコール発酵への利活用
作者
葭田隆治・古米 保(富山県深層水協議会顧問)
文件屬性
日本研究
知識分類
精緻農業
點閱數
2844

摘要

1.自然環境における海水塩、肥料塩海水や肥料(人糞)に由来する塩類は、古く江戸時代から農業生産に広く活用されてきている。農文協刊行「日本農書全集、農稼肥培論」によれば、海水や海藻は麦、サツマイモ、野菜や果樹へのミネラルの供給に使われていた記載がある。江戸100 万人の都市の人糞は、周辺の武蔵(埼玉県)や上総・下総(千葉県)の国などへ運ばれ作物栽培用の肥料として利用され、見返りに米や野菜の供給を受けていた。世界一の循環型クリーンな都市を構築していたことになる。その反面、日本国の地形は海に囲まれているところから、台風による高潮を受ける環境にあり、沿岸部では常に作物の塩類災害の危険にさらされてきた。近年では、東日本大震災に見られるように、大規模な津波による農地の塩類集積を引き起こしてしまった。すなわち、作物の塩ストレスの原因物質となるNa, Mg, K, Ca やCl の各イオンの蓄積となる。一方、現代の旬を感じさせない野菜栽培では、プラスチックフイルムハウスを加温使用し、過剰施肥による塩類障害土壌を作り出す例が多く見受けられるようになった。この場合、対象面積が限られているので、湛水や浄化作物の栽培で除塩が可能となる。以上、これらの事例は、海水塩や肥料塩は、農業生産に必要不可欠なものであるが、過剰に供給や施肥すると障害を引き起こす事を示唆している。現代では、この塩類障害を克服するため、その障害の生理機構を解明し耐塩性作物の創出につなげている。
2.富山湾深層水の農業生産への利用
1) 米の量と質への深層水の影響富山県の沿岸部では、しばしば高潮の影響で稲体に障害を与えているが、この圃場で生産されるコメの味は向上することが経験的に知られている。しかし、質(味)に関与する要素の具体的な数字の解析は、未知のまま残されていた。この情報を基に、滑川市の農家と協力し、コシヒカリの幼穂形成期から傾穂期にかけて数回10 倍希釈深層水とにがり100ppm を混合し、150 平方メートル当たり800 リッターを流し込みにより施用した。その結果、刈取り期の稲体の特徴では、止葉(L1)、第2 葉(L2)と穂長が長くなり、下位節間長(N4,N4+5)が短くなり、全体として草丈が約7cm短くなった。この事は、倒伏が難点なコシヒカリの安全栽培に寄与することを示している。また、収量構成要素のうち玄米の粒厚分布は、深層水施用により篩目2.1 ㎜以上での分布割合が高くなる傾向を示した。すなわち、玄米の充実度が高まったことになる。一方、味度メーター(トーヨー、MA-30A)による品質評価では、味度値と評価値が高くなった。これらの事実から、コシヒカリにおける傾穂期からの希釈深層水の施用は、倒伏を軽減する栽培と玄米の品質向上に大きく寄与することを指摘したい。
2)園芸作物への深層水散布の影響演者らは、1992 年にミニトマトへの食塩水希釈液の散布試験を試みたところ、果実の肥大が僅かながら小さくなるものの、糖度が12%に向上することを見いだした。すなわち、ミニトマトは果菜から果実へ大変身を遂げたことになる。その後、2002 年から、キャベツセル成型苗の苗質に及ぼすNaCl の影響或いはウンシュウミカンやトマトの果実品質に及ぼす海洋深層水施用の影響について、園芸学会が刊行する専門誌の園芸学雑誌に論文として掲載されるようになった。この事は、食塩や海洋深層水が園芸作物の品質向上に寄与することを、学会が認知したことにもなろう。また、商業利用では、高知県の沿岸部に栽培されたトマトが台風の影響で高潮にあい、樹体は被害にあったものの果実糖度が高まることを経験し、逆転の発想から海水を積極的に活用した高糖度トマトの栽培法を確立した。この高糖度トマトは、ANA の機内販売用の商品にもなった。一方、園芸作物の中で葉菜類への深層水の散布が、量や質にいかなる影響を与えるかが興味のあるところである。演者らの論文では、コマツナの3葉期から1週間毎に2回、50 倍又は100 倍希釈深層水を散布すると、新鮮重と乾物重がともに顕著に高まることを報告した。この効果は、500 倍に希釈した深層水に100ppm のマグネシウム塩を混用することでも認めることができた。他方、ブドウやリンゴにおける着色期の果実への深層水の散布はいかなる効果を持つであろうか。ブドウ(有核品種、有袋栽培)の場合、着色を促進し、お盆前の市場への出荷は価格面で極めて有利となる。予想通り、100-500 倍希釈深層水を果実のベレゾーン期から1 週間毎に2 回散布したところ、果皮のアントシアニン含有量が明らかに高くなった。また、マグネシウムとカルシウウムを混用することでも、果皮の着色が増強された。しかし、富山県果樹研究所の成績では、ブドウ品種(無核処理)が異なるものの、深層水の果実への散布効果が判然としないとした報告もある。今後、ブドウ果皮のアントシアニン蓄積に及ぼす塩ストレスの生理的側面からの解明がまたれる。果実の着色促進のメリットは、ブドウばかりでなくリンゴにも該当する。演者らは、魚津市に栽培されているフジ果実の着色期に100 又は500 倍希釈深層水を散布したところ、果皮のアントシアニン含量と果肉の糖度が明らかに増加した。この増加傾向は、マグネシウム100ppm+カルシウウム3,000ppm を希釈深層水に混用すると顕著に助長された。また、収穫期では、リンゴの「うまさ」を大きく左右する、果肉における花托の髄の周辺部に「蜜入り」症状が認められるようになり、美味しさも倍増する。一般に、果実の「色づけ」にはカルシウム資材の散布が有効とした事例も多く出されている。
3.アルコール発酵への深層水の影響ニ条オオムギを原料とする焼酎製造における深層水の効果について紹介したい。何故なら、富山県の主力な麦の種類は六条オオムギであり、むぎ茶、押し麦や味噌・醤油などの副原料として利用されてきているが、高付加価値な商品への適用でない。そこで六条オオムギの販路拡大に繋げるため、六条オオムギの麦芽をつくり、その糖化工程に深層水を加え、ビール酵母とともにアルコール発酵を行なった。その結果、アルコール濃度4.5%のビールが出来上がった。また、アントシアニンを含有する赤米の抽出物(抽出温度;70 度)を加えることで、抗酸化機能性を持つビールも製造出来ることも実証した。他に、JA グループから、ファイバースノウの商標で焼酎の製造上市されている。しかし、原料のみが富山産で、製造は他県でおこなわれている。一方、元来、ニ条オオムギはビールムギとして広く認知され、黒部市の特産品にも位置づけられている関係から、国税局の許認可が必要な焼酎製造のための原料として活用することとした。協力会社は、黒部市の銀盤酒造株式会社である。この場合、二条オオムギ・米麹焼酎の製造に当たり、糖化工程の一次もろみに深層水や深層水脱塩水を加え、3 週間の発酵期間でニ次もろみをえた。その後、ろ過と単式蒸留を経て、アルコール濃度39.5%の原酒を得ることができた。熟成後、アルコール濃度25%の「黒部」並びに30%の「譲」を作り上げた。また、熟成期間の短縮することを目的に、40KHz程度の微弱な超音波振動子を焼酎に与え、水とエタノール分子の水酸基シグナルの会合と融合をNMR により検討し、美味しい焼酎を短期間で飲む方法も提案した。以上、ここでは、富山湾深層水の農業やアルコール発酵に及ぼす影響について限定し紹介したが、他に、食品分野における深層水の情報については、11 月10日の「とやま深層水フォーラム2016」での古米・葭田の講演についても活用ください。この項では、六条オオムギを原料とするビールと

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