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海洋深層水由来微生物の高度利用に向けた基礎と応用研究

發佈日期:2017-08-08

標題
海洋深層水由来微生物の高度利用に向けた基礎と応用研究
作者
今田千秋(東京海洋大学大学院)、五十嵐康弘(富山県立大学工学部)
文件屬性
日本研究
知識分類
基礎研究
點閱數
2688

摘要

1. はじめに
昨年10 月北里大学の大村 智教授が微生物由来の動物薬を発見された業績に対し、ノーベル医学・生理学賞を受賞されたことは記憶に新しい。従来これらの活性物質は陸土壌由来の微生物からの探索が主であったが、近年、新規活性物質の発見頻度が著しく減少してきたことから、新たな微生物の探索源として、海洋環境が俄かに注目されるようになってきた。しかしながら、これまで微生物の分離源は表面海水、沿岸の海底堆積物や海洋生物であることが多く、水深200m を超える深度の海洋深層水(以下、DSW と称する)は清浄であることから、微生物の存在量が極めて少なく、これまであまり研究対象にされてこなかった。微生物由来の新規生理活性物質の発見頻度が激減している現在、微生物の新たな探索源を見つけることは喫緊の課題であり、DSW 中の微生物群集構造や現存量をいち早く、しかも正確に調べることは非常に重要である。そこで、DSW からの有用微生物探索研究を行うに先立ち、日本全国7か所の取水設備からDSW を入手し、微生物群集組成解析を行った。この解析にはDSW 中の微生物を
孔径0.2 ミクロンのフィルターで濾過して捕集したのち、微生物DNA を抽出精製し、PCR 増幅後、パイロシーケンス法により行った。その結果、DSWのほうが表面海水(SSW)よりも微生物群集に多様性がみられることが判明した1)。
2.有用微生物の諸産業への応用例
現時点において我々のグループの中で、DSW から有用微生物を分離した例はあるが2)、諸産業へまでの応用例はない。しかし、2010 年11 月に久米島の海岸で採集した海草(アマモ)からユニークな植物性乳酸菌(KM-2 株と命名)が分離された。本菌は陸上の植物性乳酸菌Lactobacillusdelbrueckii の標準株の性状と類似していたが、増殖温度や代謝活性などに相違が認められた。KM-2 株の発酵液はヒト皮膚コラーゲンの産生促進効果が高いことが判明したため、(株)ポイントピュールとの共同研究で化粧品原料として商品開発した。さらに本株を沖縄産の各種原料乾燥粉末を添加して、発酵したところ、原料そのものおよび原料無添加発酵液では見られなかったアミラーゼ阻害効果(糖尿病予防)やキサンチンオキシダーゼ阻害効果(痛風予防)また、抗酸化活性やチロシナーゼ阻害作用(メラニン生成抑制)が
新たにみられた。現在、この発酵液を添加したダイエットサプリメントを(株)ポイントピュールと共同開発中である。またこの乳酸菌発酵物を添加した、グルテンフリーの米粉パンや豆乳ヨーグルトの試作も行っており、将来各地方の特産物を配合するとともに機能性を確保した商品も開発したいと考えている。これら海洋性乳酸菌の分離と培養の経験を活かし、様々なDSW から乳酸菌や酵母など産業価値の高い微生物の探索にも着手したいと考えている。久米島ではDSW の取水規模を拡大し、現在の約8倍の深層水を取水する計画があり、海洋温度差発電を大幅に拡大するのみならず、DSW の発電以外の諸産業への有効利用を展開、発展させる絶好の機会と捉えることが出来るため、今後DSW からの有用微生物探索研究は大いに期待される。
3.参考文献
1)Terahara et al. Gene, 576, 696(2016).
2)Shibata et al. Deep Ocean Water Research, 15, 117(2015).

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