岩内町における海洋深層水の利活用と施設の維持管理について

發佈日期:2017-12-28

標題
岩内町における海洋深層水の利活用と施設の維持管理について
作者
釜谷豊和(岩内町)
文件屬性
日本研究
知識分類
食品應用
點閱數
2714

摘要

1. はじめに
岩内町は、札幌市から西に車で2時間半程の所に位置する、日本海と南はニセコ連峰を望む、四季折々の豊かな自然に恵まれた町です。
2. 岩内町と海洋深層水
当町は、かつて「漁業」を核として、派生した「水産加工業」が地域内に外貨を導入し、この中で商業を始めとする各種産業が成立するという構造になっておりました。しかし、長引く漁業不振、魚価の低迷など、「漁業」を取り巻く情勢が厳しくなるに従い、その影響が地域全体に拡がり、活力低下に直結するなか、地域産業の再生が喫緊の課題となっております。こうしたなか、岩内湾の沖合で海洋深層水の存在が確認されたことや先進地の海洋深層水利用事例を見た場合、その利用は漁業などの一次産業、製造業などの二次産業、企業誘致や医療など広範囲に及んでおり、当町においても様々な産業分野に大きく貢献することが期待されたことから、平成17年度より海洋深層水の本格取水が始まりました。その際、地元企業の大部分が中小企業であり、大手企業であれば備えている研究部門や
専門の営業体制といったものを、自前では持ち得ない状況となっていることから、販売促進のための市場調査、商品改良といった戦略的な手法を、町として強力にバックアップする体制を確保するために、「地場産業サポートセンター」が設置され現在に至っております。
3.海洋深層水の利活用
海洋深層水の利活用の拡大を図る為には、深層水利用の優位性や利点を科学的に証明し、そのデータをいかに活用してくかが、鍵になるものと考えております。当町では、新たな事業領域への深層水の利用を図るため、酪農・農業・美容といった領域において、事業者に協力いただきながら利用試験による実証データを収集しているほか、本年度から、利用が多い事業領域である水産加工や活魚輸送分野について、水産加工利用では、塩数の子や塩水ウニなど、その品質を数値化し、高品質であること、
活魚輸送利用では、水産試験場など関係機関と連携して深層水の優位性を実証するための試験を始めたところです。また、一般の方々に向けて、年に複数回深層水まつりやミニイベントの開催、町内
イベントへの参加、広報誌の作成など、深層水利用のための機運づくりにも積極的に取り組んでおります。
4.施設の維持管理
当町の深層水取水・送水設備は今年2月で稼働後12年を経過しました。設備のなかでも、主となるポンプは現在、重要度などの観点から計画的に順次分解整備を進めているところですが、施設全体の
老朽化などから今後さらに機器類の維持更新にかかる費用の増加が見込まれます。将来にわたり深層水を安定供給するために、施設全体の計画的な維持管理による施設の長寿命化、光熱水費などの管理運営コストの縮減など、施設の効率的な運営をいかに進めていくかも利活用の拡大とともに大きな課題となっております。

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