海洋深層水により浄化したカキの栄養成分分析

發佈日期:2017-11-13

標題
海洋深層水により浄化したカキの栄養成分分析
作者
○海老澤和毅1、鷲足恭子2、後藤知子1、白川仁1、駒井三千夫1
文件屬性
日本研究
知識分類
基礎研究
點閱數
4761

摘要

1.目 的
三陸産カキの出荷量は、現在、震災前の4割程度1)となっており、且つ浄化処理施設の被害によりノロウイルスのリスクが高い状態である。そのため、カキを効果的に浄化畜養し、通年にわたり出荷できる新たなシステムの構築が必要である。海洋深層水は、産業利用上においては深度200 m 以深の海水を指し、太陽光が届かないためプランクトンが生育せず、表層水に比べて清浄であることが知られている。したがって、この海洋深層水の清浄性に着目し、カキの浄化システムへの利用が期待できる。しかし、海洋深層水で浄化したカキの含有栄養素及び機能性成分は未だ解析されていない。そこで本研究では、高機能性カキの開発に有効なシステムの構築を目指し、従来のカキ浄化システムであるUV 殺菌表層水で浄化したカキ、及び、海洋深層水で浄化したカキにおいて、含有栄養素及び機能性成分を分析し、そ
れらを指標としてカキの機能性を評価することを目的とした。
2.方 法
浄化に用いた海水(UV 殺菌表層水、海洋深層水)のミネラル(Na・K・Ca・Mg)濃度は、原子吸光光度計にて測定した。カキ中の一般成分は、水分を常圧加熱乾燥法、タンパク質をケルダール法、脂質をソックスレー抽出法、灰分を直接灰化法により各々分析し、炭水化物はこれら4 成分を試料重量から除いて算出した。また、浄化前カキ(釜石産)及び10日間浄化畜養したカキを凍結乾燥後、マイクロウェーブ分解装置にて湿式灰化し、カキ中ミネラル(Na・K・Ca・Mg・Zn・Cu・Cd)濃度を原子吸光光度計にて測定した。カキのグリコーゲン含量はCarroll et al.(1955)の方法を改良したアンスロン硫酸法により測定した。
3.結 果
海洋深層水は、各種ミネラル(Na・K・Ca・Mg)濃度において、UV 殺菌表層水に比べて有意に高値を示した。一般成分分析の結果、タンパク質、脂質、灰分、炭水化物において海洋深層水で浄化したカキは、UV 殺菌表層水で浄化したカキに比べ有意に高値を示した。可食部100 g 当たりのNa・K・Mg 含量において、海洋深層水で浄化したカキはUV 殺菌表層水で浄化したカキに比べ有意に高値を示
した。可食部100 g 当たりのグリコーゲン含量では、海洋深層水で浄化したカキはUV 殺菌表層海水で浄化したカキに比べ有意に高値を示した。また、浄化前カキと比較すると、タンパク質、脂質、灰分、炭水化物、K・Mg含量、グリコーゲン含量において、UV 殺菌表層水で浄化したカキでは減少するのに対し、海洋深層水で浄化したカキではこれらの成分が保持された。以上より、従来のカキ浄
化システムであるUV 殺菌表層水で浄化したカキと比較し海洋深層水で浄化したカキでは、カキ中Na・K・Mg 含量、タンパク質、脂質、灰分、炭水化物、グリコーゲン含量が高値を示し、海洋深層水で浄化することにより、栄養価の高いカキが畜養できることが示唆された。

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