海洋深層水由来放線菌の諸性状と抗がん活性
- 標題
- 海洋深層水由来放線菌の諸性状と抗がん活性
- 作者
- 梁 太煕・寺原 猛・小林武志・今田千秋(東京海洋大学)、 山田勝久(㈱ディーエイチシー)
- 文件屬性
- 日本研究
- 知識分類
- 礦物質分離
- 點閱數
- 5461
摘要
1.目的
近年、海洋環境が新たな有用微生物の探索源として注目され、研究が進められているが、現在でも未着手の探索源は数多くあり、その1つに海洋深層水(以下、DSW)がある。このDSWからの有用微生物の探索に先立って、これまで我々は分子生物学手法に基づいて日本各地のDSWと海洋表層水(以下、SSW)の微生物群集構造の解析を行ってきた。その結果、DSWにはSSWには見られない独自の微生物群集構造が存在していることが明らかとなり、新たな有用微生物の探索源として期待が持たれた。そこで本研究では、DSWから有用微生物の中で最も有名な放線菌の分離・培養を行い、得られた分離株から抗がん活性物質の生産菌の探索を行うことを目的とした。
2.方法
伊豆赤沢DSWおよび久米島DSW及びSSWより合計240株の放線菌を分離した。これらの分離株をISP2液体培地に植菌し、27℃で7日間培養した後、遠心分離を行い、その上清をB16マウスメラノーマ細胞(以下、B16細胞)試験に供し、MTT還元法で抗がん活性を調べた。抗がん活性(50%阻害濃度;IC50)が確認された培養上清についてさらに正常ヒト由来線維芽細胞(以下、NB1細胞)試験に供し、同様の方法で活性測定を行い、正常細胞に対する影響を調べた。なお、抗がん活性が確認された分離株については16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析による種の同定を行った。
3.結果及び考察
全分離株240株中、これまでに104株について抗がん活性試験を行った。その結果、伊豆赤沢DSW由来の7株および久米島DSWおよびSSW由来の7株の合計14株の抗がん活性が得られた。これら活性株の諸性状を表1にまとめた。また、これら14株の中でAKA43、AKA128、SA2の3株はNB細胞の活性を低下させた。今後は残りの約140株について抗がん活性試験を実施し、活性株を選択後、諸性状を明らかにすると共に抗がん活性物質の特定を行う予定である。
近年、海洋環境が新たな有用微生物の探索源として注目され、研究が進められているが、現在でも未着手の探索源は数多くあり、その1つに海洋深層水(以下、DSW)がある。このDSWからの有用微生物の探索に先立って、これまで我々は分子生物学手法に基づいて日本各地のDSWと海洋表層水(以下、SSW)の微生物群集構造の解析を行ってきた。その結果、DSWにはSSWには見られない独自の微生物群集構造が存在していることが明らかとなり、新たな有用微生物の探索源として期待が持たれた。そこで本研究では、DSWから有用微生物の中で最も有名な放線菌の分離・培養を行い、得られた分離株から抗がん活性物質の生産菌の探索を行うことを目的とした。
2.方法
伊豆赤沢DSWおよび久米島DSW及びSSWより合計240株の放線菌を分離した。これらの分離株をISP2液体培地に植菌し、27℃で7日間培養した後、遠心分離を行い、その上清をB16マウスメラノーマ細胞(以下、B16細胞)試験に供し、MTT還元法で抗がん活性を調べた。抗がん活性(50%阻害濃度;IC50)が確認された培養上清についてさらに正常ヒト由来線維芽細胞(以下、NB1細胞)試験に供し、同様の方法で活性測定を行い、正常細胞に対する影響を調べた。なお、抗がん活性が確認された分離株については16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析による種の同定を行った。
3.結果及び考察
全分離株240株中、これまでに104株について抗がん活性試験を行った。その結果、伊豆赤沢DSW由来の7株および久米島DSWおよびSSW由来の7株の合計14株の抗がん活性が得られた。これら活性株の諸性状を表1にまとめた。また、これら14株の中でAKA43、AKA128、SA2の3株はNB細胞の活性を低下させた。今後は残りの約140株について抗がん活性試験を実施し、活性株を選択後、諸性状を明らかにすると共に抗がん活性物質の特定を行う予定である。